「ねこパンチ2号」全国大会への想い
第二回全日本製造業コマ大戦準優勝チーム SWCN信州 中原健司
「ねこパンチ2号」全国大会への想い 最終話
ねこパンチ2号の情報は、テクニカルショウのアクセプト(NK精工)さんのブースで、ポスターとして2月6日から公開した。また、メンバー限定で公開していたYoutubeの動画も仲間の同意を得て6日の夜に公開した。佐藤貴之さんなどからコメントを頂いた。
対策される可能性もあったが、全国大会を盛り上げたかった。また、イベントなどを支援してくれている、Solidworksをはじめとするサポーターの皆さんへの感謝もあった。こんな良いツールをみんなに知ってほしいし、解析の精度や操作性を改善してほしいという課題も投げかけたかった。
いよいよ全国大会。
敗者復活戦で優勝し、全国大会に出られたことで、SWCNとしての目標は達成していた。こちらの手の内は、午前中の戦いですべて見られているし、相手は地区大会の優勝、準優勝の猛者たち。何をしてくるかわからない。
【1回戦】安久工機さん
安久工機さんといえば、八王子大会でジャイロ機構の付いたコマで優勝。スタンダードなコマでは来ないだろう。
回すことによって、外周にあるガードが下がり、相手の攻撃を受け付けないというアイデアゴマ。
途中、スイカのパフォーマンスはあったが、ねこパンチ2号は想定外だったようだ。
【2回戦】クリタテクノさん
第1回全国大会で3位、名古屋大会優勝の実力者。黒田さんは、UstreamやFacebookで良くみかけ、対戦できるだけでもすごいこと。
Facebookには、ねこパンチ2号に勝てるなら勝負の神がついているとの書き込みがあった。
さすがに、オーラというかプレッシャーはものすごかった。1戦目は、そのオーラに負けて失投した。名古屋場所のカジミツさんの気持ちがよくわかった。
ねこパンチ2号の投げ方は、イメージとしては野球の右バッターの外角低めに大きく曲がるカーブ。大きく右にひねりながら押し出すような感じ。
回転が足りないまま投げると開かずに倒れるし、先に押し出すと開いた状態から回すようになってしまう。完全に開いた状態から回すことができれば、すごく回し易いのであるが、間違いなくクレームがつく。そのため、回転前に開かないようにずっと訓練してきた。
2戦目、3戦目はこちらの理想的な展開となり勝利できた。
この対戦のあと、回転前に開いていると事務局から注意があった。Ustreamで確認し、この対戦では若干開き気味であったことは認めざるを得ない。しかし、それはプレッシャーによる力みで、意図的ではなかったことをわかってほしい。
【準決勝】スワニーさん
準決勝は、長野県同士の対決となってしまった。それも、一度も勝ったことのないスワニー橋爪さん。総選挙でも戦っていて、こちらの手の内は把握されている。
茨城場所のSWCNのコマも相当投げにくく、シミュレーションではとても勝てるコマではない。それでも優勝できたのは、投げ手の能力に尽きる。投げ方のバリエーションもたくさん持っていて、現場対応力は抜群。
きっと何かしてくるが、こちらは器用ではない。真ん中で思い切って投げるだけ。こちらは、迷ってはいけないコマだから。
1戦目は、コマをコントロールして直接ぶつけてきた。強い当たりだったが、何とか耐えることができて勝利。
いつも表情を変えない橋爪さんだが、迷いが見えた。会場から、橋爪コールが起こった。
2戦目は、おそらく外周を回してこようとしたようだが、それが裏目に出たようだ。失投で長野同士の戦いが終わった。
会場が一瞬静かになった。スワニー橋爪さんが何とかしてくれるという期待が無くなったという雰囲気だ。
そうこうしている間に、第1回王者の由紀精密さんが2失投によりシオンさんに敗れた。由紀精密さんのコマは、先端が尖っていて、土俵の回っているのが真ん中に落ちてこないコマであった。
【決勝】シオンさん
決勝のことは、一進一退の攻防であったこと以外あまり覚えていない。
Ustreamの映像を分析してみた。
1戦目は、力みすぎて失投。アドバンテージは、シオンさん。魔物到来の期待が会場の雰囲気を高める。
2戦目は、当たった瞬間に弾き飛ばすことができて勝利。
3戦目は、当たり負けで敗戦。失投気味との解説もあったが、軸ではなく動体にアームが当たってたため、これでは勝てない。後でわかったことだが、重いボディの外周にひと肌のゲルを塗って衝撃を吸収する仕組みも敗因の一つだ。
4戦目は、ねこパンチ2号の回転が落ちるも、アームが閉じかけてきたおかげで、最後の一撃を与えることができ、同体で引き分け。
椙田さんから会場拍手のお願い。
5戦目は、うまくあてることができ勝利。
6戦目、7戦目は軸にぶつけることができず、力を失ったねこパンチ2号の戦いは終了した。
決勝戦では、7戦も戦っていた。敗者復活1回戦のアタイス工業さんからコマを何回投げたんだろう。負けてメンバーに申し訳ない気持ちもあったが、すがすがしい気持ちにもなった。SWCNのメンバーは誰も私を責めなかった。
懇親会では、「すごいコマだった」「決勝戦は感動した」と皆さんから声をかけていただいた。ヒール覚悟で臨んだ大会だっただけに、本当うれしかった。
シオンの山田社長様と話をした。シオンさんは打倒クリタテクノさんを目標に重いコマを制作し大会に臨んだ。重いコマは、重心が高くなるので長く回すことができない。軸の太さは、太いと回し易いが、回転数が落ちてしまう。そのため、あまり太くできない。それでも回転数を上げるために、経営者自ら相当練習したようだ。右人差し指には大きなマメの跡があった。
最初と最後に苦手なタイプのコマが出てきて、優勝できなかったのは運命なんだと思う。まだまだ、攻めなければならないのかもしれない。
仕事をおろそかにしてきたつもりはないが、少し軸足を戻そうと思う。
【最後に】
「その2」にも書いたが、私の目的は、コマを通じて、開発手法や加工方法に興味を持ってもらい、それを会社のモチベーションアップにつなげること。私は、ミナロ緑川さんのようにカリスマ性もなく、プレゼンテーションもうまくない。今回の結果を報道がうまく伝えてくれれば、きっと興味を持ってくれると信じている。
今日1日で、この半年の出来事や想いを書かせてもらった。なんか、現実のことではなく、小説でも書いているような気分だった。読みにくいところもあったと思うが、ミナロ緑川さんをはじめ、たくさんの「いいね」をしていただき、うれしかった。
ねこパンチ2号の構想設計者と投げ手の立場から自由に書かせてもらった。詳細設計した宮下さん、加工してくれた小林さん、事務局の水出さん、人脈を広げてくれた藤森さんからも、Facebookへ投稿があると思う。
最後に、コマ大戦を企画運営してくれた心技隊の方々、SWCNメンバー、Facebookの友達、有休を使ってコマ大戦に参加しているのを知っていながら見逃してくれている職場のメンバー、そして、土日にはコマの実験や設計をしている父親をそっと見守ってくれている家族に感謝したい。
おわり
寄稿 中原 健司 様
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