「ねこパンチ2号」全国大会への想い
第二回全日本製造業コマ大戦準優勝チーム SWCN信州 中原健司
「ねこパンチ2号」全国大会への想い その3
サクラコマの最初の試作ができた時、たまたまスワニーさんにいて、いつかこんなのを作りたいなという思いがあった。
地区予選に変形ゴマはいくつか出ていた。メディアは喜んで取り上げていた。しかし、あまり強くなかった。
その理由として、次のことが考えられる。
1.開くためにエネルギーが使われてしまう。
2.相手にダメージを与えるが、自分もダメージを受ける。
3.一体ものに比べてバランスが悪い。
全国大会会場でお話しした方の中にも、変形ゴマのアイデアはあったと仰る方が多かった。
そんな時、名古屋大会が行われた。カジミツさんのコマは衝撃的だった。レギュレーション内であの破壊力を出せるコマを作りたかった。
名古屋大会の後、レギュレーションが変更になった。回転軸の方向が変わるコマは禁止となった。
この時、開くコマのアイデアがあったのでメンバーに相談していた。開いた後に閉じないといけないかどうかという課題であった。間接的に、コガネイの片桐さんが事務局に確認してくれた。事務局の回答は、回る前にφ20であれば、閉じなくてもOKであった。もし、強いコマが出てくればレギュレーションを変更する可能性もあるが、存在しないものを禁止することはできないという見解であった。
正直、開いたままで良ければ、相当強いコマを作る自信があったが、後でいやな思いをしたくないので、閉じる機構を検討することとした。
それでも、ルールぎりぎりの設計になることは、わかっていた。悪者になることも覚悟で構想設計を始めた。
2次元CADで作図している途中で、あることに気付いた。せっかく開くのであれば、わざわざ重いボディを狙うのではなく、軸を狙えばいい。傾向として、重いコマよりも低重心の軽いコマの逆回しが主流になってきた。
リンク構造は、最初から決まっていた。なぜか、ちゃんと開くという自信があった。大会が終わって、冷静に考えてみると、自分が担当したワンタッチオーニング(日よけ)の構造と同じであった。2.5mx3mの布をワンタッチで開けるのであるから、小さなコマが開かないはずはない。
構想案がまとまったところで、SWCN総選挙に出場しない数人のメンバーに相談した。試作にはかなりの費用が掛かりそうであったが、やってみようといってくれた。材料手配と加工は、NK精工の小林さんが快諾してくれた。
私は大雑把な設計しかできないため、詳細設計を誰かに依頼したかった。宮下設計事務所の宮下さんが引き受けてくれた。3日ほどで設計案が上がってきたので、簡単な仕事だと思っていたが、昨日、facebookに投稿されたコメントを読むと、相当苦労したようであった。
設計案は1度修正があったが、その検証にはモーション解析を多用した。
1.バネが無ければ自重で開くリンク構造
2.バネを入れれば閉じる構造。
3.バネを入れた状態で回転を与えれば広がり、回転数が落ちれば閉じる構造
詳細部分を何度か修正して、データ提出できたのが、12月上旬。NK精工さんも仕事が立て込んでおり、部品が全部上がるのは、早くて年末。1月のSWCN総選挙に間に合うかどうか厳しい状況であった。それでも仕事の合間に、部品加工してくれたNK精工さんの社員の方には、感謝してもしきれません。
また、NK精工の小林さんはステンレス製の練習用ゴマも準備してくれた。開いた状態のコマであったが、ものすごく強かった。
これが再現できれば、絶対に強い!!!
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