歴代のコマ達に敬意を表して
「全日本製造業コマ大戦」(以下、コマ大戦)は2012年2月に産声を上げ、凄まじいムーブメントを巻き起こし、有り難いことに全国津々浦々で毎年多くの大会が開催されております。開催年から毎年平均で50大会以上、1,000チームほど参加いただき多くの参加者・観戦者を巻き込んだ中小製造業を代表するイベントとなりました。
コマ大戦は、「直径20.0mm以下、全長60.0mm以内。相手より長く回り続けること。ただし、土俵を出ると負け」というシンプルなルールです。小さなコマを、製造業に携わるプロが本気で設計し、プロ仕様の機械で、自社の持てる技術をすべて注ぎ込んで製作しています。
そんなコマ大戦ですが、当初よりブレずに一貫して掲げているスローガンに「製造業を元気にしたい。」というものがあります。 ( >>コマ大戦とは )
”自社製品を持たず、下請けとして日本を支えてきた製造業者は技術と設備を持っていても、自社製品を創る機会がありませんでした。コマという自社の看板を背負った製品を本気で作成することがモチベーションの向上に繋がり、またその成果がコマ大戦を通じて多くの人の目に留まることで、一人でも多くの方が製造業に興味を持って貰えれば嬉しい限りです。”
このスローガンを汲み取ってもらったかのように、大会の開催数が進むにつれ、対戦相手や歴代の強いコマを研究し、既存のコマ達の弱点を突くことに特化したモデルのコマがたくさん生まれました。
面白いことにそれぞれのコマはジャンケンのように、「グー」には「パー」で勝てるが、「チョキ」には負ける。といった具合に、得手不得手や対戦相手の組み合わせで勝敗結果が決まることが多くありました。当初は、単純に相手より長時間回るコマを作るということで、”相手より大きく・より重く(高密度)・より回しやすく”というものが王道コマとして君臨しました。
その後、対戦相手よりもコンマ1秒でもよいので長く回ることで勝つというルールに着目し、相手の力を奪い回る合気道コマなるものが出現しました。
このあたりの詳しい説明は『大人の本気のコマ遊び「コマ大戦」必勝法─最強のコマを探せ!』に、東京工業大学助教で通称・コマ博士こと”山崎詩郎氏”が、動画などを交えわかりやすくご紹介くださっています。ご参照ください。また、書籍「直径2センチの激闘 (出水治博 著)」、「独楽の科学 (山崎詩郎 著)」の2冊も、是非ご購読ください。
そんな中、「コマ」=「回すツマミがあり胴体が大きく円形であり、先端が尖っている物」という既成概念を打ち壊し、”勝利すること”において、様々な可能性を熟考し、新たなコマを創り出した革新者が現れました。そんなコマ達はまさに中小企業が生き残るための知恵の塊です。
我々コマ大戦協会審判部は、ルールで縛りすぎることは、このアイデアを潰すことに繋がると考えております。自由な、奇想天外な、突拍子のない、驚愕するコマの出現は、我々にとっても非常に嬉しいことです。
しかしながら、大会運営上、やむを得ずルールを定め、必要に応じ新ルールを追加をしてきました。今後も必要に応じて新ルールを追加することになるかもしれません。その判断は非常に心苦しいものです。
「変わったコマが出てきたからルールで縛っちゃおうぜ」のような考えは一切御座いません。逆にその発想の豊かさに、その手があったか!とリスペクトをしております。その尊敬の念から、「殿堂入りコマ達」として公開する運びとなりました。ご覧ください。
NPO法人 全日本製造業コマ大戦協会 審判部